2026.05.18
マルチパス(電波の反射)とは?ビル風より怖い障害の正体と対策
ドローンでビルや外壁の点検あるいは山間部での空撮を行う際、ベテランパイロットが最も警戒する現象の一つに「マルチパス」があります。
結論から申し上げますと、マルチパスとは「宇宙の衛星から届く電波がビルや崖などの壁に反射し、時間差でドローンに届くことで位置情報が狂ってしまう現象」のことです。
画面上ではGPSの受信数が十分なのに、なぜか機体がフラフラと暴走するという、初心者にとって最も恐ろしいトラブルの原因になります。
そこで今回は、マルチパスが起きる内部メカニズムから、プロが現場で行っている二重三重の回避策まで徹底的に深掘りして解説します。
1. なぜ電波が反射するとドローンは暴走するのか?
ドローンが空中でピタッと止まっていられるのは、上空にある複数のGNSS(GPS)衛星からの電波をキャッチし、自分の正確な位置をミリ秒単位で計算し続けているからです。
ここで重要になるのが、ドローンは衛星との正確な距離を測るために電波が届くまでの時間を計算しているという点です。
本来であれば電波は宇宙からドローンへ向かって一直線に届きます。しかし、すぐ横に大きなビルやコンクリートの崖があると、電波はその壁にぶつかって反射し、遠回りをしてからドローンに到達します。
するとドローンの頭脳であるフライトコントローラーは、電波が届くのが遅かったから自分はもっと遠くの場所にいるはずだと誤解してしまいます。
この直進してきた正しい電波と、壁に反射して遅れてきた電波が混ざり合い、機体が自分の居場所を見失ってしまう現象こそがマルチパスの正体です。
2. マルチパスが発生しやすい3つの危険エリア
マルチパスは目に見えないため、あらかじめ発生しやすい場所を予測して近づかないことが最大の防衛策になります。
【高層ビル街やマンションの狭間】
コンクリートやガラスの壁は電波を非常に強く反射します。ビルの壁面点検などを行う際は最もマルチパスが発生しやすい環境と言えます。
【切り立った崖や岩肌の近く】
山間部や渓谷での空撮時、ゴツゴツした岩肌に電波が乱反射し、突然機体の挙動が不安定になるケースが後を絶ちません。
【大型の金属構造物の周辺】
ガスタンクや鉄橋、巨大な工場などはコンクリート以上に電波を鏡のように反射するため極めて危険です。
3. マルチパスのメカニズムと機体への影響
【正しいルート】
衛星 ➔(一直線)➔ ドローン = 正確にホバリング
【マルチパスのルート】
衛星 ➔(ビルの壁に反射)➔ 時間差でドローン = 位置がズレて機体が暴走

4. プロが実践するマルチパス対策と現場の鉄則
マルチパスの恐ろしいところは、プロポの画面上ではGPSの受信数は正常に見える点にあります。そのため操縦者が事前にリスクを予期して対策を講じる必要があります。
① 壁面から十分な距離を保つ
外壁点検などで構造物に近づく際は、必要以上に接近しすぎないプランを立てます。カメラのズーム機能を活用し、機体自体はマルチパスの影響を受けにくい安全な距離に保つのが実務のセオリーです。
② 手動制御(ATTIモード)への切り替え準備
万が一マルチパスが発生して機体が勝手に動き出したら、すぐにGNSSをカットして手動制御である「ATTIモード」に切り替えます。狂った位置情報をあえて無視し、自分の指先の感覚だけで機体を静止させる技術が命を救います。
③ 日本の衛星「みちびき」に対応した機体を選ぶ
真上から電波を届けてくれる日本の準天頂衛星「みちびき」に対応した最新のドローンを使用することで、ビルの陰でも反射電波に惑わされにくくなり、リスクを大幅に低減できます。
5. まとめ:危険を予測できるフライトプランを
結局のところドローンの安全運用において最も重要なのは、トラブルが起きてから焦るのではなく、ここで飛ばすと何が起きるかを事前に予測する力です。
マルチパスという見えない脅威を正しく理解し、現場の環境に合わせた飛行ルートを組めるようになって初めて一人前のプロパイロットと言えます。
SKYWALKERでは、GPSの電波が一切入らない屋内練習場を活かし、マルチパスや電波ロストが起きた際にも慌てずに機体を回収できる、本物のマニュアル操縦技術を基礎から指導しています。
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